タイピングが気持ちよく・指への負担が少なく・所有欲を満たして・PC作業のテンションを上がるキーボードが欲しい!
こんな欲張りな方には高級キーボードの代名詞ともいえる「Happy Hacking Keyboard(以下 HHKB)」と「REALFORCE(リアルフォース) 」が選択肢に入ってくると思います。
静電容量無接点方式のキーボードが欲しい方が、両者で迷うことも多いでしょう。
どちらも魅力的で、悩みますよね。
この記事では、どちらが気持ちよく使えるキーボードかを解説します。
プログラマー兼キーボードフェチの筆者が、メリット/デメリット・打ち心地・タイピング音に至るまで、両者の特徴をお伝えします
2021年11月1日より、「REALFORCE R3」が発売されました。無線・有線接続を切り替えられるハイブリッドモデルがあります。
R3の発売に伴いR2は生産終了しましたが、まだ在庫はあるようです。
購入したHHKBとREALFORCE(リアルフォース) の型番とスペック
まずは私が購入したHHKBとREALFORCE(リアルフォース) の比較を見ていきましょう。
PFU Happy Hacking Keyboard Professional 2 英語配列(HHKB)
色 | 墨 (ブラック) |
刻印 | 無刻印 |
キー配列 | 英語配列(UNIX配列)・テンキーレス |
押下圧 | 45g |
接続方式 | 有線(USB) |
対応OS | WINDOWS/MAC |
このHHKBを購入した理由
- Macで使える最高のキーボードが欲しい
- 無刻印の見た目がカッコいい
- 特殊なキー配列にマニア心をくすぐられた
私が最初に購入した高級キーボードはHHKBです。
「どうせ購入するなら最高のキーボードがいい」ということで、ネット上で評判が良かったHHKBに白羽の矢が立ちました。
私はMac専用機として使っていますが、HHKBはMacとWindowsに対応しているのが嬉しいですね。
当時はブラインドタッチができなかったのに、見た目のカッコよさから無刻印のタイプを選択。
慣れ親しんだ日本語配列ではないうえに無刻印。安い買い物ではないですし、購入に踏み切るにはかなり勇気が必要でした。
しかし「ブラインドタッチを習得するいい機会だ」と覚悟を決めて購入。
刻印がなければ手元を見ることもなくなるので、ブラインドタッチがメキメキと上達しました。
特殊なキー配列というところにも、魅力を感じています。
私は基本的にプログラミングに使用するので、英語・UNIX配列にデメリットは感じませんでしたし、テンキーもほとんど使用しないので、意外にすんなりとこのキー配列に慣れましたね。
そして、いろんな方がおっしゃっているように、私も普通のキーボードに使いづらさを感じるようになったのでした。
HHKBの打ち心地:弾力感が気持ちいい
同じ45gでもREALFORCE(リアルフォース) よりキーが重く感じますが、これは「タクタイル感の強さ」が関係している印象です。
(タクタイルについては「リアルフォースの打ち心地」で解説します)。
「スコスコ」「コトコト」と形容される打ち心地そのままで、なによりキーを押下した時の弾力感がとても気持ちいいです。そこはかとなく「モチっ」とした弾力感です。
これはしっかりとしたタクタイルと、タクタイル感の後にスッと抵抗が抜ける感覚が組み合わさっることで生じているように感じます。
また、キーをリリースする際の反発感でリズムよくタイピングできるのもいいですね。
ですがHHKBは素早くタイピングするのではなく、一打一打の感触を確かめながら打鍵したいくらいに指へのフィードバックが気持ちいいです。
単純な打ち心地の気持ち良さであれば、個人的にはHHKBに軍配が上がります。
HHKBのタイピング音:デスクに振動が伝わって力強い音が鳴る
弾力感や反発感があるからか結構力強いタイピング音で、押下時に「ゴッゴッ」、リリース時に「カチャカチャ」と鳴ります。
HHKBの作りはプラスチック感が強く、打鍵時の衝撃がデスクに伝わっています。
対してどっしりとした作りのリアルフォースは静音性が高いです。
高い携帯性のHHKBですが、タイピング音は少し大きめなので使う場所を選びそうです。
最新モデルの「HYBRID Type-S」であれば、静音性も改善されているかもしれませんが、この力強いタイピング音も「入力している感」があって好きですね。
HHKBを選ぶメリット
- 最高級の打ち心地で、押下時の弾力感が気持ちいい
- コンパクトで軽く、持ち運びが容易
- キーボードに向かう心理的な負担が少ない
無線モデルがある
リアルフォースもR3から有線・無線が切り替えられるハイブリッドモデルが加わりました
HHKBの打ち心地は、押下時の弾力感が気持ちいいです。
コンパクトで軽く、持ち運びが容易
コンパクトなので右手のキーボード⇔マウスの移動距離が短くて済みます。
「このくらいの距離で」と侮ってはいけません。一日に何往復もしますからね。
こういったところも疲労なく作業できるかどうかに影響します。
HHKBから普通のキーボードに替えると、右手の移動距離にストレスを感じるくらいですからね。
また、重さは約550gと軽いため(REALFORCEの半分以下)、気軽にカバンに入れて運べます。
HHKBを持ち歩いている方が多いのもうなずけますね。
キーボードに向かう心理的な負担が少ない
私はその日の気分でHHKBとREALFORCE(リアルフォース)を使い分けていますが、どうしても気乗りしないときはHHKBを選びます。
コンパクトであるメリットは物理的なところだけでなく精神的にもメリットがあるようで、デスクにキーボードがドーンと陣取っているのは、意外と心理的な負担があるのかもしれません。
対してREALFORCE(リアルフォース)は作りもサイズも業務感があり、「仕事をするぞ」と自分を追い込みたいときに選びます。
無線モデルがある
HHKBはREALFORCE(リアルフォース) にはない無線モデルがあるのも強みです。
私も有線モデルではなく無線モデルにすれば良かったかなと、少し後悔しています。
電池残量を気にしながら作業するのはストレスだと思い有線モデルにしましたが、そう頻繁に電池切れを起こすことはないですし、なによりデスク上にケーブルがあるのが意外と気になって集中力に悪影響があります。
というわけで、今後HHKBを購入される方は有線・無線両対応のHYBRID一択になるかと思います。
REALFORCE(リアルフォース) にもR3から有線・無線が切り替えられるハイブリッドモデルが加わりました。
HHKB(英語配列)を選ぶデメリット
- 半角/全角の切り替えがストレス
この一点に尽きます。
特殊なキー配列がこのキーボードの魅力ですが、そのままデメリットですね。
よく「方向キーがないのがデメリット」と言われますが、そこはすぐに慣れますし、何より右手の移動が少なくて済むメリットのほうが大きいです。
ですが半角/全角の切り替えは方向キーと同等以上に頻繁に使用する上に「Shift + Ctrl + ‘(半角)、J(全角)」のような操作が必要となります。
これがかなりめんどくさい。
こればかりは2年以上使用している今でも慣れず、切り替えするたびに作業への集中が途切れてしまいます。
【追記】半角/全角の切り替えは「Ctrl + スペース」で可能
HHKBは「Ctrl + スペース」で半角/全角の切り替えができます。
恥ずかしながら、この英語配列キーボードの常識を「HHKBは特殊なキーボードだから」という思い込みで試してすらいませんでした。
こうなると、半角/全角キーが左上にあるWindowsは、切り替えのたびにホームポジションが崩れてストレスを感じますね。
追記2: リコーによるPFUの買収
先日(2022.4.28)、リコーによるPFUの買収が発表されました。
PFUは富士通の事業ですが、今後はリコーの傘下に入るわけですね。
リコーによるとPFUの買収はオフィス事業拡大のためだそうで、今後は世界中での展開を視野に入れているそうです。
HHKBファンとして、今後どのようになっていくのか楽しみです。
東プレ REALFORCE R2 R2TL-JP4-BK
色 | ブラック |
刻印 | レーザー刻印 かな表記なし |
キー配列 | 日本語配列・テンキーレス |
押下圧 | 45g |
接続方式 | 有線(USB) |
対応OS | WINDOWS |
その他 | 非静音・APチェンジャー非搭載 |
このREALFORCE(リアルフォース) を購入した理由
- 職場でWindowsを触るようになったため
- HHKBと同グレードのキーボードが欲しかった
- タイピング音の心地よさ
いよいよエンジニアとしてデビューした頃、職場ではWindowsと日本語配列の一般的なキーボードが支給されました。
Macと英語配列のキーボード、しかもHHKBの特殊なキー配列に慣れていたので、PC操作にストレスを感じる日々です。
職場のPC操作に慣れるために、自宅での学習をWindowsに切り替え、それに合わせてキーボードも新調。
この「REALFORCE R2」の購入となりました。
普段HHKBを使用しているので、それと同グレードのキーボードが欲しくなるのが人情というもの。
もう、ちょっとやそっとのキーボードでは満足できません。
タイピング音を楽しむために、静音モデルは却下しました。
静音モデルは打ち心地も微妙に変化するんですよね、悪い方向に…。
REALFORCE(リアルフォース) の打ち心地:しっとりと高級感がある
HHKBと比べてしっとりとして落ち着いた打ち心地です。
キー素材に高級感があり碁石や陶器に触れている感じ、というと少し大げさですが、そのような印象ですね。
同じ押下圧45gでも、HHKBと比べると指への負担が少ないです。
こう感じる理由に「タクタイル感の強さ」が関係しているように感じます。
タクタイルとはキーを押下したときに感じる「引っ掛かり」のことで、「クリック感」とも表現されます。
HHKBとリアルフォースはともにタクタイルフィーリングのキーボードなのですが、このタクタイル感の強さが「HHKB > リアルフォース」のために打鍵感に違いが出ています。
(リアルフォースの押下特性は「ソフトタクタイルフィーリング」)
リアルフォースの打鍵感はタクタイルでありながら「リニア」寄りの滑らかさです。
リニアというのはメカニカルキースイッチの一種で、タクタイル感がなくスムーズな押し心地が特徴です。
セブンイレブンのATM(東プレ製)の打鍵感はリニアです。
「しっかりとしたタクタイルフィーリングのHHKB」と、「リニアスイッチに近いリアルフォース」という印象です。
REALFORCE(リアルフォース) のタイピング音:心地いいカチャカチャ
文字にすると「カチャカチャ」ではありますが、耳障りな安っぽいものではありません。
打ち心地と同様、上品でしっとりとした、心地いい「カチャカチャ」です。
どんなタイピング音か気になる方は、YouTubeにキーボードのタイピング動画があるので、見てみて(聞いてみて)はいかがでしょう。
キーボードからアルファ波でも出ているのではなかろうか。タイピング音を聞いているととても落ち着きます。
静音モデルではないものの、HHKBと比べるとかなり音が小さいですね。
タイピング音の心地よさはREALFORCE(リアルフォース) に軍配が上がります。
REALFORCE(リアルフォース) を選ぶメリット
- しっとりと落ち着いた打ち心地
- 上品で心地よいタイピング音
- メカっぽいカッコよさと高級感のあるデザイン
- APC機能でタイピングの感覚を調節できる(APC搭載モデルのみ)
打ち心地の気持ちよさではHHKBにやや劣りますが、しっとりと落ち着いた打ち心地は疲れを感じにくいです。タイピング音も同様、上品で心地よくいつまでもタイピングしていたくなります。
デザインの面では、HHKBの無刻印は独特の個性があって目を見張りますが、REALFORCE(リアルフォース)には高級感と存在感を感じます。なんというか、メカっぽくてカッコいいんですよね。
それでいて高級感があり、さすが業務にも使われるプロ御用達のキーボードという印象。REALFORCE(リアルフォース) と並べてしまうと、HHKBは少しおもちゃのように見えてしまいます。
APCを登載しているのもHHKBにはない特徴です。APC(アクチュエーションポイントチェンジャー)は東プレ独自の機能で、「各キースイッチのオン位置を4段階で調節してキースイッチの反応速度を最適化できる」というもの。
タイピング速度を追求したい、「撫で打ち」で指への負担を軽減したい方には魅力的な機能ですね。
REALFORCE(リアルフォース) を選ぶデメリット
- 日本語配列・非静音・APチェンジャー非搭載・押下圧30g・テンキーレスがラインナップにない
- 無線モデルがない(R3から無線モデルが登場!)
本当に欲しかった上記の組み合わせがラインナップにないのは本当に残念です。需要はありそうなんですけどね、東プレさん…。
私は腱鞘炎気味なので、指に負担の少ない押下圧30gのものが欲しかったのですが、そうすると選択肢が静音モデルのみになってしまうんですよね。
英語配列であれば非静音・押下圧30gのものもあるのですが、今回は日本語配列であることがマストでした。
悩みに悩んだ末、「R2TL-JP4-BK」を購入。
ですが同じ45gでも指への負担はHHKBよりも少なく、そこは結果オーライでした。
と言うわけで、デメリットはラインナップに対してですね。
欲を言えば無線モデルもあればいいなと思いますが、REALFORCE(リアルフォース) は業務などで確実な入力が求められるキーボードですから、不安定になりがちな無線モデルは理念に合わないのかもしれません。
R3からは有線・無線接続が選べるハイブリッドモデルが登場しました。詳しくは次項にて。
キーボードとしての機能に不満はありません。使えば使うほどに良さがわかる良いキーボードです。
REALFORCE R3 が発売されました
なんと2021年11月1日より、「REALFORCE R3」が発売されました。
絶対にないと思っていた無線と有線接続が選べるハイブリッドモデルがラインナップにあって、ちょっと驚いています。それだけ無線接続のニーズが高いということですね。
R3用のパネル(別売)を付けることでデザインもカスタマイズできるという、なんとも今風(?)な仕様になりました。
これに伴い、現行のR2はs生産終了となります。寂しいですね。
デザインはR2の方が好きかな…。
R2とR3の違い
R2とR3では何が変わったのか、改めて見ていきたいと思います。
無線接続ができる(ハイブリッドモデルのみ)
前述のとおり、R3からはBluetooth 5.0を使った無線接続が利用できます。
マルチペアリングで最大4つの機器と接続することができ、有線接続も組み合わせれば最大5台(Bluetooth4台とUSB1台)の機器をワンタッチで切り替えることができます。
タブレットとPCを併用している方であれば、メインPCにはUSBで接続しておきつつ、タブレットで作業したいときはサクッと無線接続に切り替え、なんてこともできます。
私もPCとタブレット(さらにはMacも)を併用していますが、それぞれにキーボードを接続していてデスクの上はゴチャゴチャです。それが一台のキーボードで完結できるのは魅力的ですね。
キーマップの設定ができる
単一でキー入力をした場合と、ファンクションキー(Fn)と同時押しした場合のキーマップが設定できます。
以前まで私はキーマップの変更に魅力を感じていませんでしたが、自作キーボードに手を出してからは積極的にキーマップを変更しています。
テンキーレスキーボードの弱みに「数字入力が難しい」というところがあるかと思いますが、例えば下の画像のようにテンキー感覚で数字を入力することもできますし(Fnキーは右下にあるので画像のようにちょっと難しそうですが)、HHKBのように文字キーをカーソルキーとしても使うことができます。
ヒートマップの確認ができる
打鍵数の多い・少ないをヒートマップで表示してくれます。おもしろいですね。
使用回数の多いキーを視覚化できるので、効率的なキー配置を分析するツールとして活躍してくれそうです。
タイピング速度を追求する方にはうれしい機能のような印象ですが、個人的にはあまり必要ないかな…。
詳しくは公式の「操作ガイド」もご覧ください。
さいごに:どっちが使っていて気持ちいいの?
長くなったので、HHKBとリアルフォースの特徴をまとめます。
■HHKBとリアルフォースの特徴
HHKB | リアルフォース | |
キー方式 | 静電容量無接点 | 静電容量無接点 |
キー押下圧 | 45gのみ | 45g、30g、変荷重 |
押し心地・打鍵感 | しっかりとしたタクタイル | 軽めのタクタイル (ソフトタクタイルフィーリング) |
指への負担(押下圧45g) | 〇 | ◎ |
打鍵音(非静音モデル) | ・しっかりとした打鍵音 ・重心が軽い | ・しっとりしていて静か ・重心が低い(高級感がある) ・心地いい「カチャカチャ」 |
対応OS | Windows、Mac | Windowsのみ(Mac用モデルあり) |
結局HHKBとREALFORCE(リアルフォース) 、どっちが使っていて気持ちいいキーボードか?
私の答えはREALFORCE(リアルフォース) です。
- 一般的なキー配列のため、タイピングにストレスがない
- 同じ押下圧45gでも、REALFORCE(リアルフォース) のほうが指への負担が少ない
- 心地よい「カチャカチャ」というタイピング音
今回は細かいスペックや使用環境にはあまり触れず、「どちらが気持ちよく使えるキーボードか」という観点から比較をしました。
個人的な印象を簡単に表現すると、「コンパクトで気楽な、タイピングが楽しいHHKB」と、「使用感・デザインともに高級感があり、じわじわと良さが分かる REALFORCE(リアルフォース) 」というところでしょうか。
この記事がHHKB、 REALFORCE(リアルフォース) 購入の際の参考になれば幸いです。