オーディオ

インシュレーターの置き方でスピーカーの音質をコントロールしよう

スタジオモニター ADAM A7

オーディオアクセサリーの中では安価で効果も実感しやすいのが「インシュレーター」ですよね。
音に無頓着な方でも、スピーカーの下にインシュレーターを置くだけで「音が全然ちがう」と反応するほど、効果は絶大です。

部屋の模様替えに伴い、新しいインシュレーターの導入と前から興味のあった「インシュレーターの配置による音の変化」を試してみました。

インシュレーターの配置換えを試す機会はいくらでもあったのですが、ミリ単位で決めたスピーカーの位置が変わってしまうのが面倒くさいということもあり、なかなか実現しませんでした。

私と似たような方も多いと思いますし(大きくて重いSPはとくに)、そもそも「インシュレーターなんて効果あるの?」という方もいらっしゃると思います。

この記事が、そんな方々のオーディオライフを向上させる一助になれば幸いです。

この記事を書いた人

はやと

在宅プログラマー・DTMerです。

音楽学校卒。
ギタリストとして20年以上のキャリアがあり、PAやレコーディングエンジニアとしても活動していました。

インシュレーターで音が良くなる仕組み

スピーカーは音を出すときに「振動」します。
この振動がスピーカーを置いている台や床に伝わり、その振動がまたスピーカーを振動させることでサウンドを濁ったものにしてしまいます。

この振動はスピーカーだけでなくプレーヤーやアンプにも悪影響を及ぼします。

そこでインシュレーターの出番です。
インシュレーターには「制振効果」があり、音を濁らす不要な振動をカットすることでサウンドが良くなるというわけです。

Insulate:絶縁する、断熱[防音]する。隔離する、孤立させる

Wisdom英和辞典より

使用機材と音源

スタジオモニター ADAM A7
スタジオモニターの ADAM A7

インシュレーターの配置テストをするにあたって使用した機材と音源下記のとおりです。

インシュレーター

  • インシュレーター:オーディオテクニカ AT6098 
  • インシュレーター:AET SH-2014B(真鍮)

使用機材

  • プレーヤー:Macbook Air
  • オーディオインターフェイス:Apogee ROSETTA 800
  • スピーカー:ADAM A7

音源

  • YouTube:Mr.Chirdren「DOME & STADIUM TOUR 2017 Thanksgiving 25」

インシュレーターについて

オーディオテクニカ AT6098

使用したインシュレーターはもう10年以上使用している「オーディオテクニカ AT6098」です。 定番中の定番ですね。

audio-technica(オーディオテクニカ)」は、プロユースのレコーディング機材から家電ショップにあるオーディオアクセサリーまで幅広く扱っている日本企業です。

AT6098の素材はハネナイトと真鍮のハイブリッドタイプです。

音楽好きの友人・知人のスピーカー下にはたいてい AT6098があり、みんな口を揃えて「音が良くなった」と言います。

1セットで8個入っていてコスパが非常に高いので、初めてのインシュレーターにおすすめです。
(残念ながら2022年2月現在はどこも品薄です…)

AET SH-2014B

インシュレーターはもうひとつ「AET SH-2014B」を使用しました。こいつが新しく導入したものです。

aet(エーイーティー)」は質の高いオーディオアクセサリーを扱う日本の企業です。

SH-2014 シリーズは素材にアルミ、ガンメタリック、ゴールド、真鍮とバリエーションがあるのですが、私の購入した「SH-2014B」は真鍮です。
実際に音を比較したわけではないのですが、真鍮がいちばん自然なサウンドになるようです。

SH-2014 の特徴は「裏表でサウンドが変わるハイブリッド設計」です。

SH-2014 には両面に円が彫られています。
円の大きい面を上にすると『ヌケ』や『拡がり』が向上し、円の小さい面を上にすると『タイトで芯のあるサウンド』になります。(公式より引用)

本当に両面でサウンドの傾向が変わるので一粒で二度おいしいですね。
「二種類のサウンドを試して自分の環境に合うものを選びたい」という方には嬉しいアイテムです。

音質も素晴らしくて驚きました。サウンドの拡がりも密度も AT6098より向上します。
特にドラム。

レコーディングし直したのではないかと思うほど抜けや鳴りが変わりました。アタック感が気持ちいいです…。
AT6098 では物足りなくなった方におすすめしたいですね。

その分(?)値段も少し高めで、かつ1セットにつき4つです。スピーカーに敷く場合はもう人1セット購入する必要があります。

使用機材について

音楽の再生は上記のとおり、Macbookにオーディオインターフェイスをつないでスタジオモニターで再生しました。

MacbookとApogee Rosetta 800
Macbook Air とオーディオインターフェイスの Apogee Rosetta 800

いわゆる「ピュアオーディオ」ではありませんが、スピーカーでのテストなのでどんな再生環境でも同じような変化を得られると思います。
(インシュレーターはプレーヤー、アンプ、ケーブルに敷いても効果を発揮します)

ROSETTA 800ADAM A7 も古い型のものですが(ROSETTAは生産終了)、プロスタジオでも使われるような機材なので、音質の担保になると思います。

音源について

音源は YouTubeで配信されているミスチルのコンサートを使用。
ミスチルはボーカル・ギター・ベース・ドラム・ピアノ・シンセ・ストリングス・ブラスと様々な音色を確認できますし、音も良いのでサウンドテストでよく使っています。

カッコつけずに言うと「気軽に YouTubeでミスチルのライブを見ながらサウンドテストを楽しんだ」という感じです。

公式チャンネルでコンサート映像が無料公開されています。感謝

さすがさすが、圧巻のパフォーマンスです。
それにしても、ミスチルももう30周年(2022年執筆時)。
その間衰えることなく第一線に君臨し続けていて、ほんとにもう凄すぎですね。

インシュレーターの置き方とサウンドの変化

それではさっそくサウンドテストの結果を見ていきましょう。

四隅に置く(四点支持)

インシュレーターをスピーカーの四隅に置く。四点支持

個人的にインシュレーターはスピーカーの四隅に設置するのがベターと考えています。

三点支持派の方も多いですし、実は三点のほうがスピーカーもガタつきなく安定しやすいのですが、四点支持のほうが音の広がり・量感などのバランスが良く、好結果になることが多い印象です。

これはお持ちの機材や再生環境が関わってくるのでケースバイケースでしょう。
私はまずは四隅に置いてみて、そのサウンドに不満があれば配置を変えています

四点支持でスピーカーがガタつく場合は、スピーカーとインシュレーター、もしくは接地面に隙間ができています。
ゴムパッドを敷くなどしてガタつかないように調整しましょう。

以下のインシュレーターの配置によるサウンドの変化は、この「四点支持からどう変化するか」となります。

三点支持(頂点が前):低音、量感が増す

インシュレーターをスピーカーの四隅に置く。三点支持

三角形の頂点が前になるように、インシュレーターを三点に置きます。

サウンドは低音と量感が増して重心が下がったような印象ですね。音が濃いです。

ギターの中低域も心地よく鳴り、ギタリストとしては「そうそう、こんな音で鳴らしたいんだよね」という感想です。
レコーディングやライブなどで楽器をミキシングする際、アンサンブルを聴きやすくするために実際に鳴っているよりも低域はカット(ローカット)されてしまいますからね。

ベースやドラムも同様、ブンブン・ドンドンと鳴るようになりました。

デメリットとしては楽器の分離や明瞭さ、広がりをあまり感じられなくなります。
「低音が出すぎて嫌」「こもって聴こえる」と感じるひとも多いかなと。

「スピーカーの音が軽い」「もっと低音や量感を増やしたい」という方に向いていそうな配置です。

三点支持(底辺が前):音場が上と左右に広がり、ボーカルが引き立つ

インシュレーターをスピーカーの四隅に置く。三点支持

次は三角形の底辺が前になるように、インシュレーターを三点に置きます。
三点支持の定番の設置方法ですね。

これは面白い変化でした。
音場が上、左右に広がってボーカルも際立ちます。
高域が際立つので、シンバルやリバーブ(残響・エコー)もきれいに響きます。
全体的に明瞭さが加わりますね。

また、低音パートのドラムやベースも輪郭が引き立ちます。
とくにバスドラムのアタック音のキレが増すのが印象的。「ボンボン」から「ドンドン」というような変化でした。

デメリットは、低音が減るのでサウンドが軽く・薄っぺらく聴こえがちというところです。
これは「低音は高域をマスキング(隠す)する」という性質が関係しています。
「低音が減る代わりに隠れていた高域がきれいに広がっている」というのが、このセッティングのポイントです。

私の環境では「中低域がやや減りすぎて物足りないかな」という印象でしたが、低域が強い音源には合うかもしれませんし、高域のきれいさと広がりはすごく魅力的です。

ひし形

インシュレーターをスピーカーの四隅に置く。四点支持、ひし形

結論から言うと、私の環境ではこのひし形がいちばん好結果でした。
スタンダードな正方形のサウンドを、より聴きやすくした感じです。

よく言えば迫力のある音を、悪く言えば「前面に張り付いたようなサウンド」が若干マイルドになり前後左右に立体感が加わります。 音に余裕や空間が生まれる印象ですね。

以下は私の感じた印象です。
・スピーカーに張り付いていた伴奏のストリングスが一歩引いた位置で聴こえる
・左右に振られた(パンされた)演奏も内容をしっかりと聴きとれる
・音場の立体感、広がりのバランスがいい

デメリットとしては、やや迫力がなくなるところでしょうか。
個人的には耳につく痛さが取れて、バランスの良い落ち着いたサウンドに感じます。
微妙な違いなので、ご自身の耳で確かめていただければと。

インシュレーターを置く位置でも音質は変わる

ここで言う「インシュレーターを置く位置」というのは、例えば四点支持であれば「四隅ギリギリに置くか、少し内側に配置するか」ということです。

インシュレーターをギリギリに配置
インシュレーターをスピーカー端ギリギリに配置

変化の傾向としては、隅に配置すると広がりや明瞭さが増し、内側に配置すると低音や密度が増します。
私の環境では画像のように外側に出るくらいの配置が良い結果となりました。

これだけでも大きな変化がありますので、ぜひ試してみてください。

まとめ

最後にインシュレーターの配置とサウンドの変化がひとめでわかるように図と表にしました。(もっとオシャレな図を作りたい…)

インシュレーターの配置とサウンドの変化
インシュレーターの配置とサウンドの変化

ひし形の配置は四隅とほとんど同じ位置ですが、音が若干柔らかくなり立体感が増します。

■インシュレーターの配置とサウンドの変化まとめ

配置四点支持
(四隅)
三点支持
(頂点が前)
三点支持
(底辺が前)
四点支持
(ひし形)
長所・スピーカー本来の音質に近い・低音と量感が増しまし、重心が下がる

・演奏者のイメージに近い音
・音場が上と左右に広がる

・ボーカルが引き立つ

・高域が際立ち全体的に明瞭さが加わる
・若干マイルドになり音に余裕や空間が生まれる

・ 音場の立体感、広がりのバランスがいい
短所スピーカーがガタつきやすい楽器の分離や明瞭さ、広がりをあまり感じられなくなる 低音が減るので軽く聴こえがち やや迫力がなくなる

お持ちのスピーカーや環境によってベストの配置は変わりますので、ぜひご自身の耳でサウンドの変化を確認してください。

また、インシュレーターだけでなくスピーカーのセッティング(置き方)でもサウンドは変化するので、やったことがない方は試してみてください。
お金をかけなくてもサウンドがグッと良くなりますよ。