部屋の模様替えに伴いオーディオシステムの配置換えをしました。
新しいレイアウト上どうしてもコンセントが不足することになり、新しく Furman(ファーマン)の電源タップと TASCAM(タスカム)のパワーディストリビューターを導入しました。
沼と言われる電源アクセサリーの中では、どちらも安価で評判も良い製品なので気になっている方もいらしゃるのではないでしょうか。
レビューなので電源タップやパワーディストリビューター同士で比較をするべきとは思いますが、そのあたりはご容赦いただけると嬉しいです。
それでは詳しく見ていきましょう!
導入したクリーン電源について
Furman(ファーマン) テーブルタップ SS-6
Furman(ファーマン) は電源マネージメントシステムを提供するメーカーで、業務用の電源機器では No.1です。
テーブルタップ SS-6 は落雷などが原因で突発的に発生する高電圧から機器を保護する「サージ・フィルター」と、電磁波や電波が原因のノイズを削減する「EMI/RFI ノイズフィルタ」を搭載しています。
以前、PCスピーカーをノイズフィルターなしの電源タップに繋いでいたのですが、無音時はいつも「サーッ」というノイズが出ていました。
ところがスピーカーをこの電源タップに繋いだところ、ノイズがほとんど気にならないくらいに減りました。
音質も角が取れてより豊かに鳴るようになりましたね。
劇的に音が変わるものではありませんが、色を付けることなく音質を向上させてくれる優れものです。
電源ケーブルの長さは約4.5mあり、しなやかで取り回しも楽です。
オーディオグレードの電源ケーブルは太くて硬く、取り回しがしづらいものが多いですからね。
欠点はオン/オフ・スイッチが軽くて、ちょっと触れただけで電源が落ちてしまうところですね。
TASCAM(タスカム) AV-P250 パワーディストリビューター
TASCAM(タスカム)はプロフェッショナル向けの音響機器を扱う会社です。
音質と耐久性などの信頼性が高く、世界中の放送・録音現場に導入されています。
AV-P250 パワーディストリビューターは「サージノイズフィルター」と「ラインノイズフィルター」を装備しており、電源に含まれるノイズを除去してクリーンな電源を供給します。
電源ケーブルの長さは3m、しなやかで取り回しにもストレスがありません。
フロントに3口、リアに10口のコンセントを搭載しており、電源オフ時でもフロントの3口から電源を取れるのは非常にうれしい仕様です。
また、国内(100V)専用モデルならではの機能として、正しい極性で接続できているかどうかを確認するための極性チェッカーを装備しています。
注意点としては、パワーコンディショナーでもあるので信号が回路を通過するぶん良くも悪くも音質が変化してしまうところでしょうか。
ちなみにこちらよりも安価な「AV-P25RMKIII」というモデルがありますが、リアのコンセントが2Pになっていますのでご注意ください。
知らずに購入して慌ててキャンセルしました。
電源タップ・パワーディストリビューター導入の経緯
これまでは、壁コンセント(アースなしの一般的な家庭用100V)にファーマンの電源タップを繋ぎ、そこからオーディオインターフェイスやスピーカーの電源を取っていました。
レイアウト変更に伴い、左右のスピーカーの位置が離れたことで電源ケーブルの長さが足りなくなり、もうひとつファーマンの電源タップを購入。
これまでひとつの電源タップで済んでいたのがもうひとつ必要になるのは少し悔しいですが、やはり左右の条件は可能なかぎり同じにしないといけません。
これで音質についてはほぼ満足していたのですが、そうなると今度はデスク周りのケーブルのとっちらかりが気になります。
これをどうにかしたいと思い、電源の供給源をまとめるためにタスカムのディストリビューターに目をつけました。
ファーマンの電源タップだけでも、家電量販店のものや壁コンセント直差しに比べると音質が良くなるのですが、パワーディストリビューターでまとめればさらに高音質になるのではないかと思ったわけです。
ちなみに私の音楽の再生環境は下記です。
再生環境
- プレーヤー:Macbook Air
- オーディオインターフェイス:Apogee ROSETTA 800
- スピーカー:ADAM A7(スタジオモニター)
再生環境についてはやや古いものではありますが、プロスタジオにも導入されているような機材なので音質の担保にはなると思います。
TASCAM(タスカム)パワーコンディショナー → FURMAN(ファーマン)電源タップの結果
これまでの「壁コンセント → ファーマンの電源タップ」から「壁コンセント → タスカムのパワーコンディショナー → ファーマンの電源タップ 」に繋ぎ直して音楽を再生してみました。
「悪くなってる…」
はい、非常に残念ながら改悪となってしまいました。悔しすぎます。
諦めきれず、ファーマンの電源タップは繋がずにタスカムのパワーディストリビューターだけにしてみましたが、結果は変わらず。
試した環境は下記の表のとおり。
インターフェイスの前にもオヤイデの電源タップを繋いでいたりするのですが、簡略化するために3パターンとします。
再生環境1
・スピーカーの電源 :壁コン → ファーマン電源タップ
・インターフェイスの電源:壁コン → タスカムパワーディストリビューター
再生環境2
・スピーカーの電源 :壁コン → タスカムパワーディストリビューター
・インターフェイスの電源:壁コン → ファーマン電源タップ
再生環境3
・すべて 壁コン → タスカムパワーディストリビューター → ファーマン電源タップ
どれも私の環境では合わなかったですね。
パワーディストリビューターを経由するよりも壁コンセントに直接タップを差したほうが音が良いというのは想定外です。
どのように悪くなったかと言うと、ファーマンと比べて解像度が上がり、拡がりや抜けは増したものの、低音が無くなり薄っぺらいサウンドになりました。
音が近くなりはするのですが、耳に痛く非常に聴き疲れします。重心も上がってしまう印象ですね。
「余計な回路を通さずにコンセントを増やしたい」という場合はこちらがいいかもしれませんね、コンディショナー搭載のものと比べて安いですし。
タスカムのパワーコンディショナーが合うシステムもあるとは思いますが、うーん…。
スピーカー後ろにあるイコライザーで調整してもどうにもなりませんでした。
下記の簡易的な環境でも視聴しましたが結果は同じ。
「せっかく買ったのにお蔵入りか…」と肩を落としました…。
- プレーヤー:Windows デスクトップPC
- スピーカー:BOSE Companion 2(PCスピーカー)
インシュレーターの配置でスピーカーの音が改善
試しに タスカムのパワーディストリビューターを全電源の供給源にし、スピーカーに敷いているインシュレーターの配置を見直しました。
その結果、耳に痛い高域が緩和されて低域から高域までバランスの取れた良いサウンドになりました。
紆余曲折あったものの、当初の予定どおり「タスカムのパワーディストリビューターにファーマンの電源タップを繋いでインターフェイスやスピーカーに給電する」というところに落ち着きました。
ファーマンの電源タップのみの給電時にはやや物足りなかったハイの抜けが加わり、音楽が一歩前に出てきた感じです。
オーディオは本当にセッティング次第で簡単に化けますね、勉強になりました。
TASCAM(タスカム)のパワーディストリビューターを楽器とレコーディング機材に試してみた
タスカムのパワーディストリビューターは「楽器やレコーディング機材には合うんじゃないか?」とひらめき、さっそく楽器を録音してみました。
マイクプリアンプというレコーディング機材をパワーディストリビューターに繋いでガットギターを録音。すると…
「良いじゃん…!!」
レコーディングした楽器の音はたいていミキシングで中高域~高域を持ち上げる処理が必要になるのですが、その処理が最小で済みそうです。
また、出すぎていた低域もいい感じに薄まってミックスに好影響がありそうですね。
タスカムのパワーディストリビューターの音質がハマりました。
演奏時にも、特にギターの音の抜けが足りないといきにはタスカムの音質はハマりそうですね。無理にトレブルを上げる必要がなく、ノンEQでも完成した音に近いです。
今後は楽器やレコーディング機材にも積極的にタスカムのパワーディストリビューターを使っていきたいと思います。
Furman(ファーマン)とTASCAM(タスカム)の音質聴き比べ(音源あり)
せっかくなので比較音源を置いておくのでよろしければお聴きください。
音源はガットギターをマイクプリアンプにライン入力して録音したもので、マイクプリの電源を入れ替えています。
イコライザー等で音質の調整はしていません。
■壁コンセント
クセのない素直な音ですが、若干細く押し出しも弱いですね。
■Furman(ファーマン) 電源タップ
太さと柔らかさがあります。
■TASCAM(タスカム) パワーディストリビューター
音が明るく、天井が高くなっています。
いかがでしょうか。微妙な差ですがそれぞれにキャラクターがあって面白いですね。
ファーマンは太く柔らかい「そのままの楽器の音」という印象。
一方タスカムは明るくきらびやかですが、ややシャリシャリとして軽いようにも感じます。ファーマンも タスカムも長所・短所があるのでうまく使い分けたいところです。
Furman(ファーマン)のほうが安いものもある
今回パワーコンディショナー搭載のディストリビューターはタスカムのものを購入しましたが、もちろんファーマンにも同じものがあります。
私がタスカムを選んだ理由は、メーカーとしての信頼性が高いのはもちろんですが「いろんなメーカーのものを試したい」からです。
ファーマンは業務用電源機器のNo.1(電源機器に特化している)なので、お試しで最初に購入するならファーマンがおすすめです。
しかもタスカムより安い。(コンセントの数など、機能に多少の差はありますが)
こちらも購入して音質の聴き比べをしてみたいです(沼)。
アースについて:ノイズと音質への影響
オーディオのノイズ対策として「アースを引く」というものがあります。
業務機器にあるような3Pコンセントの3本目がそれです。日本の家庭電源は2Pのものが主流なので、2P変換プラグなどを使わないと挿しこめません。
TASCAM(タスカム) パワーディストリビューターの3Pプラグ。2P変換プラグも付いている
結論から言うと「アースはノイズ対策と音質向上には最強」です。
「ノイズが消える、音質は良くなる、コンセントにそのまま3Pプラグを挿せる」といいことづくめです。
アースは簡単な工事で設置できるのでぜひ試してみて頂きたいです(資格が必要なので電気工事会社に依頼してください)。
とは言え、賃貸にお住まいの方など制限があって設置できない方も多いでしょう。
そこでクリーン電源が活躍します。
前述のとおり、ファーマンの電源タップのフィルターだけでもスピーカーからのノイズが気にならなくなります。
効果としては以下のイメージです。
■ノイズへの効果
アース+クリーン電源 ≧ アースのみ > クリーン電源のみ
■音質への影響
アース+クリーン電源 > クリーン電源のみ > アースのみ
アースのみだとどちらかと言うとノイズ減の効果が強く、クリーン電源のみだと音質への影響が大きいかなと。
たまに「クリーン電源はアースを引かないと意味がない」という意見を見かけますがそんなことはなく、アースを引けない環境でも十分に効果を実感できます。
まとめ
クリーン電源は音質の変化・向上を助けてくれるものの、なんでもかんでも繋げば良くなるというものではありませんね。今回改めて思い知らされました。
と同時にノイズ対策としては確実に効果を感じました。
ギターアンプからの「ジー」というノイズに悩んでいる方にもおすすめしたいですね。
音質の向上は間違いないですし、ラック+複数のエフェクターを組んでいるような方には電源をまとめられるメリットもあります。
「いい音を出したい」というすべての方に、電源にはほんとうにこだわって頂きたい!
以上、ファーマンとタスカムのクリーン電源の検証でした。
今回購入したのは下記のふたつです。
■その他のおすすめ
「余計な回路を通さずにコンセントを増やしたい」という場合はこちら。
コンディショナー搭載のものと比べて安価です。
ファーマンのクリーン電源。
フロントコンセントが一口しかないものの、タスカムのものより安いです。